あなたは子供のころ、絵本『ウォーリーをさがせ 』で大量に描かれた人物のなかから、主人公のウォーリーを探すのに熱中したことはあるだろうか。
また私自身『ミッケ』という絵本で、子どもたちが探しものに熱中している姿を何回も目撃している。
実はこのような捜索系絵本に、古代ローマを題材にしたものがある。それが今回紹介する絵本『トムをみつけよう!古代ローマ』だ。
ではこの絵本がどんなものなのか、紹介することにしよう。
トムをみつけよう!とは?
繰り返しになるが、『トムをみつけよう!』とは絵本『ウォーリーをさがせ』や『ミッケ』と同じ、与えられたミッション(ウォーリーなら人物、ミッケなら各ページのお題)を、大量の細かな絵の中から見つけ出す、捜索系絵本だ。
基本的に絵を見つけるだけなので、文字が読めない小さな子どもでも十分に楽しむことができる。もちろん大人も夢中になること請け合いだ。かくいう私自身、昔スマートフォンアプリで『ウォーリーをさがせ』をインストールしたことのある、筋金入りのウォーリニストなのである。
トムをみつけよう!の特長
さて『トムをみつけよう!』には、他の捜索系絵本にはない特長がある。それが、歴史を舞台にした絵の中に捜す対象が紛れている、ということだ。
そのおかげで血眼になって何度も絵を見てしまうため、歴史に対して自然と興味が湧くような工夫がされている。もちろん各ページには、シリーズそれぞれのテーマごとに舞台が変わる(例えばローマならフォルムや浴場)ため、すぐに見飽きることもないだろう。
トムをみつけよう!シリーズは現在3種類
絵本『トムをみつけよう!』シリーズは、現在までに3つの時代や地域を舞台にしたものが発売されている。
- 古代エジプトを舞台にした『トムをみつけよう!古代エジプト 』
- 古代ローマを舞台にした『トムをみつけよう!古代ローマ 』
- 中国は明の時代を舞台にした『トムをみつけよう!中国<明> 』
もちろん各時代の各地域で、舞台となる背景も捜す人物や対象も変わるため、3種類それぞれで楽しむことができる。ちなみに2021年には、もう一つの舞台『トムをみつけよう!古代ギリシア』も発売される予定だ(2021年8月現在)。
トムをみつけよう!古代ローマの楽しみ方
『トムをみつけよう!古代ローマ』は、考古学者のおばあちゃんビアに見せてもらった、ハドリアヌス帝の描かれているコインに触れた途端、トムが古代ローマ世界にタイムトリップするシーンから始まる。絵本を読んでいるあなたは、トムが無事に現代へと帰ってこれるよう、彼を見つけ出さなければならない。
とはいえ、トムを捜すだけではこの本を堪能仕切ったとは言えないと思う。そこでトムを捜す以外の絵本の楽しみ方を、3つほどご紹介しよう。
【その1】しっかりと描かれた古代ローマの舞台
子供向けの絵本だと思ってあなどるなかれ。各見開きページに描かれた古代ローマの様子は、フラットなタッチを基調としながらも、古代ローマの歴史考証を反映させたものになっている。
彼らの生活の様子、各施設で行われていた催しや競技などは、古代ローマ好きにたまらない魅力を提供してくれるのだ。もちろん素敵な絵柄なので、子どもも親しみやすく何度でも見てくれるだろう。その証拠に、私の小1の娘も
この本読んでいい?
と私に聞いては、何度もページをめくっていたくらいだ。
【その2】さまざまな「みつけてみよう!」
先ほど記載したように、この絵本の捜索のお題は「トムを捜すこと」。しかしそれ以外にも各ページに6つほど他のお題「みつけてみよう!」が用意されている。
例えば『人びとが集まる広場、フォルム』では、次のようなお題がある。
- 公衆トイレで本を読んでいる人
- むらさき色の布(トガ)をはおり、言いあらそっている2人の議員
- 割れたつぼ
- ネコのディグピー
- 頭のない像
- 木かげでいねむりしている人
見開きを絵を見ていただくとわかるが、この6つの絵を捜すのは結構骨が折れる。お子さんだけではなく、あなたもぜひチャレンジしていただくといいだろう。
え、どうしても答えがわからないって?
そんなあなたでも大丈夫。巻末に『絵さがしのこたえ』があるので安心してほしい。
【その3】各テーマのわかりやすい説明
『トムをみつけよう!古代ローマ』には、トムを見つける見開き絵ごとにテーマがある。このテーマは次の13個用意されている。
- 人びとが集まる広場、フォルム
- 戦車競技場
- カンプス・マルティウスと古代ローマ軍
- パンテオン神殿
- 彫刻をつくっているところ
- 水道橋
- 古代の高層アパート
- 公衆浴場
- 船がいっぱいの港
- 裕福な人たちの大きな家、ウィッラ
- パーティ
- 凱旋式
- コロッセウム
このテーマごとにある説明が、とにかく簡潔でわかりやすい。古代ローマの初心者はもちろん、子どもに説明を求められたとき、意外と簡単に説明できなくて困ったことはないだろうか。
そんなときに役立つのが、この絵本のテキスト。
〇〇ってなに?
と聞かれたら、こっそり絵本を開いて、該当箇所の説明文を読んでみよう。すべてのテーマを、大体100~200文字(音読時間約3分)で説明できるので、カンニングペーパーとしてはもってこいだろう。
今回のまとめ
それでは、捜索系絵本『トムをみつけよう!』について、おさらいしよう。
- 『ウォーリーをさがせ』や『ミッケ』と同じ捜索系絵本だが、歴史を舞台にしているのが特長
- 現在3シリーズ発売され、2021年中に古代ギリシアが発売予定
- 絵の中からトムを見つける以外にも数個のみつけてみよう!がある
- また子どもにも親しみやすい絵柄で、説明文は初心者や大人のカンニングペーパーにはもってこいのテキスト
トムを夢中で捜しているうちに、古代ローマの世界にどっぷり浸かることができる絵本『トムをみつけよう!古代ローマ』。
このご時世、旅行はもちろん外を出歩くこともできないので、絵本の中だけでも違う時代や場所にトリップしてみてはいかがだろうか。
最後に。
もしあなたがこの絵本のテーマについて、もう少し詳しく知りたくなったら、当ブログの各記事をご一読いただくことをオススメして、この記事を締めくくろう。